その他 調査・報告
美術家のための確定申告Q&A [2024.01.30]

美術家のための確定申告Q&A


Q1 いくらの収入があれば、確定申告をしなければならないのですか

【回答】確定申告をしなくてもいい金額は、概ね以下の通りです。
1.給与所得者の場合
 ① 主たる給与収入が2千万円以下で、他の会社から給与が年間で20万円以下なら所得税の確定申告は不要です。
 ② 主たる給与収入が2千万円以下で、給与以外のその他の所得(所得とは、収入から経費などを引いた金額)がある場合、年間で所得が20万円以下なら確定申告は不要です。
2.個人事業主・フリーランスの場合
 収入から経費などを引いた所得の金額が年間で48万円以下なら確定申告は不要です。



Q2 額や絵の具の在庫評価はどうすればよいのでしょう
購入価格でしょうか。時間の経過とともに、これらの在庫について減額することができるのでしょうか


【回答】
額については、購入価格で在庫評価することになり、絵が販売された時点で売上原価となります。絵の具については消耗品費として経費処理をすることになりますが、絵の具を大量に購入し在庫として保有する場合には、購入価格で在庫評価することになり、使用時に消耗品費として処理することになります。また、時の経過とともに減価するものではありません。



Q3 売れ残った絵の在庫価格はどう設定すればよいのでしょうか

【回答】
絵画の在庫評価は、金額の大きな額縁の購入金額をもって在庫評価金額としているケースが多いようです。



Q4 確定申告における美術家の場合の必要経費とはどのように考えればよいでしょうか

【回答例】
・画材に費やした経費の計算については、
画業を事業として継続して営んでいる場合、「金額の大きな額縁等」を除いては、絵具等は購入年度の消耗品費等で経費処理します。ただし、今後の制作のためにまとめて大量に購入した画材は、購入した年度は資産となり、「使用した年度の消耗品費」として経費処理します。また、「金額の大きな額縁や画材」については購入年度は資産となり、作品が売れた時点で、費用となります。

・取材等による旅費交通費については、「取材の旅費」として経費処理します。

・自宅とアトリエが同一である場合の、各種経費の按分については、「面積比等の合理的な基準に基づき按分計算」します。

・アトリエを作った場合の減価償却については、「アトリエの取得原価の耐用年数に応じた減価償却費を計算して経費処理」します。

・謝金等、領収書のない費用は、原則として経費処理は難しく、証憑書類が 入手できない合理的な理由があれば可能と考えられます。



Q5 NFT等による仮想通貨での売上の税務処理はどのようになりますか

【回答】
国税庁より出されております「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて」に基づき税務処理することになります。



Q6 教員としての収入と、画家としての作品販売の収入がある場合、申告はどのようになりますか

【回答】
画家として、画業を事業として継続して営んでいる場合で、概ね、例年売上が300万円を超え帳簿等を備えている場合には、所得区分は事業所得として申告することになりますが、主たる収入が教員としての収入である場合で、画家としての収入が例年、300万円以下であれば雑所得として申告することになると思われます。



Q7 作品を寄贈した場合、税金の控除はありますか

【回答】
税金で控除の対象となる寄付金は、税務上定められておりますので、対象となる寄付金であれば控除の対象となります。



回答:稲垣会計事務所所長 稲垣稔(日本美術家連盟税務顧問)

*上記回答は、顧問税理士稲垣稔の私見でありますことをご了承ください。