(Ⅰ)まず、補助金申請の対象とする具体的な取組内容を、下記の三つの区分で考えます。(*注2・注3)
①「国内外の顧客、参加者の回復・開拓」
②「活動の継続・再開のための公演・制作方法等の検討・準備・実施」
③「前記①②の取組と併せて行う、業種ごとの新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドラインに則した取組」
それぞれの区分の活動の例は次のように考えられます。
①国内外の観客、参加者等の回復・開拓
作家、美術活動のための周知広報、宣伝に関る事業と考えられます。
・活動実績をまとめた冊子の作成、配布
・CMやPR動画等の制作、配信
・公演、展示のチラシの作成、配布
・展示のギャラリートークや講演会の開催
・美術家の制作活動を紹介するウェブサイトの制作、更新
・制作した作品をまとめた図録の作成、配布
他の内容でも、作家や活動の周知、広報に含められるものがあると思います。
②「活動の継続・再開のための公演・制作方法等の検討・準備・実施」
美術家としての活動の再開に向けた準備の取り組みと考えられます。(※注4)
「募集案内」の例では、
・技能向上に関する資格取得
・美術関係者向けワークショップ
があげられていますが、他にも次のような取り組みが該当すると考えられます。
・アートプロジェクトや作品制作のための調査、研究、取材
・予定される発表や制作依頼開拓のための作品の制作、準備
・制作や技法に関係する研究会・講習会の開催、参加
・動画配信サイトを通じた無観客展覧会 【ICT活用あり】
‣Zoomによる合同研究会の開催 【ICT活用あり】
この区分の活動については、ICT(インターネット等の情報通信技術)を活用した取り組みの場合、補助金額や補助率が変わります。「募集案内」を確認いただき、ICTを活用する取組は活動内容と経費を、ICTを活用しないものと分けて考えておいてください。
③前記①②の取組と併せて行う、業種ごとの新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドラインに則した取組
前記①②の取組を実施する際の新型コロナ感染防止対策と考えられます。
下記のような活動が該当すると考えられます。
・感染症対応のための研修会
・感染症対応の試験的な展覧会
・アートプロジェクト、展覧会開催に関るマニュアルの作成
・消毒その他感染症対策のための取組
・その他
なお、業種別の感染拡大予防ガイドラインは、各省庁、業界団体等により公表されているものを参考としてください。
(Ⅱ)次に、それぞれの取組に必要となる経費について考えます。
取組に際して具体的に必要となる個々の経費金額とその説明を考えます。(「募集案内」、本頁下段採択事例をご参考にして下さい)
加えて、個々の金額を費目毎に集計します。
*さまざまな費目(賃金、旅費、消耗品費 等々)が「募集案内」のP.14~P.17に掲載されています。
経費を考える場合、特に間違えやすい点について確認します。
些細なことですが、この明細の書き方で修正になる人がたくさんいます。
・消耗品経費については、
消耗品1点について税込10万円未満であること。なお、10万円以上の物品については対象外となり、購入経費のうち99,999円分が補助対象になることもありません。
・費目毎に集計した金額のみ記載しないこと。
「活動に伴う経費の説明」欄では、個々のアイテム等の金額と説明が求められます。同一単価のものを複数購入するようなケースは、単価と個数を考えること。
・宿泊費については、地域毎に上限金額が決められ、上限額を超えた差額については自己負担となります。
・宿泊費は内訳として、単価と宿泊数を書いてください。
・旅費で交通機関を利用する場合は、交通機関の種類(電車や飛行機他)と区間、金額を書いてください。
・申請者本人への賃金の支払いは、補助金の対象とはなりません。
・「賃金」は、補助事業期間中に雇用した者の人件費です。パフォーマンス等に出演依頼する方への支払いは、「雑役務費」で計上してください。
・諸謝金が募集案内に掲載されている標準金額を超える場合には、実績報告時に算出根拠の提示を
求められる場合があるとされています(「団体の内部規定による算出根拠」となっていますが、個人申請の場合は、公的な団体の採用している基準等が援用できるものと予想します)。
・補助対象経費の全体額に補助率を乗じた金額が補助金額。補助率の基本は2/3(但し、一定の要件を満たすと3/4になる)。
補助金には、上限が定められていますが、10万円という下限もあります。この下限を下回る場合は、補助対象外となります。
*注2 この度の補助金は、芸術家が活動の再開の準備のために実施する活動(事業)を対象とするので、
中止となった展覧会のキャンセル料等の損害は、対象にならないと考えられます。
*注3「雇用契約の明文化等の経営・ガバナンスの近代化」区分は、個人にあまり関係ないので、ここでは触れません。
*注4「活動の継続・再開のための公演・制作方法等の検討・準備・実施」区分のICT(インターネット等の情報通信技術)を活用した取り組みの場合、補助金額や補助率が変わります。「募集案内」を確認いただき、ICTを活用する取組は活動内容と経費を、ICTを活用しないものと分けて考えておいてください。
以上3つの準備をしたうえで、日本芸術文化振興会の申請フォームに進んでください。
https://keizokushien.ntj.jac.go.jp/procedure/
参考として下記の事業毎の経費と費目の事例をご覧ください。
採択事例はこちらにまとめました。あわせてご覧ください。